血液検査をどう読むか②しつこくアルブミンの事

血液検査をどう読むかで前回アルブミンについて触れましたが、書き足りないと感じたので今日もアルブミンの事について。

私自身の備忘録的な内容でもあります。ご了承ください。

アルブミンは肝臓で合成され、40%が血液中に、60%が血管外に存在します。

アルブミンの体内総量は、体重1㎏あたり4~5gほどになります。

体重60㎏の人で300g。

毎日その量の4~5%(体重1㎏あたり0.2g、体重60㎏の人で12g)がアミノ酸に分解される。

そしてまた同じ量のアルブミンが肝臓で合成される。アルブミンの半減期は約17日ほど。

血液検査時の数値は過去のある時点(2週間から3週間前)でのアルブミンの代謝状態を反映していると言われている。

血液中のアルブミンが老化して傷んでくると、マクロファージに取り込まれ分解される。

分解や血管外への分布されると同じ速度で肝臓で合成され、アルブミンの血中濃度は維持される。

《血管内のアルブミンの役割》

■血管内のアルブミンは血管内に水を引き寄せ、血液量を保つ役目をもつ

(↑の事を分かりやすく説明する時にアルブミンをスポンジに例えたりする、スポンジの量がある程度あると水分を維持することが出来るなどと…)

■ホルモンやミネラル、酵素、脂肪酸、薬物、間接ビリルビン、毒素などと結合してそれを運ぶ(この事を分かりやすく説明する時に、アルブミンは運搬トラックですと話す。血液中で物質は単体では移動できず、アルブミンというトラックにより運ばれる。例えば低アルブミンの人が多剤服用している場合など、アルブミントラックで運ばれない薬が血液中に残る事で、薬剤の効果を下げるだけでなく、副作用にもつながるなど…)

《アルブミンの目安値》

■単純なタンパク質栄養の不足の場合は、4.0~4.4/dl 程度にとどまる。

■3.8以下/dlの時は、何らかの疾患の影響も考える。

■一般的な検査では分画比から計算して求めている。

総タンパク×分画比(%)÷100の計算(例 総蛋白値7.9g/dl、アルブミン58.3%の場合7.9×58.3÷100=4.61 アルブミン値は4.61g/dl となる)

正確なアルブミン値は実測で求める(実測値は計算値よりやや低めにでる)

《アルブミンの上昇がみられた場合》

■脱水による血液の濃縮を考える(偽高値)脱水では、総タンパク値、ヘマトクリット値、尿比重も高めである。

《アルブミン低下がみられる場合》

■アルブミンの異化亢進(分解されるのが早い)→食欲不振、発熱、炎症、甲状腺機能亢進、ステロイド治療中、進行がん

■体外に失われる場合→ネフローゼ症候群(腎疾患)、タンパク質漏出性胃腸炎(消化器疾患)、広範囲の熱傷や皮膚疾患、外傷(出血)

■血管外へ失われる場合→炎症、感染症、術後や受傷時

■栄養欠損→摂食障害、吸収障害

■アルブミンの合成障害→肝硬変、肝障害(アルブミンは肝臓で合成される)

《私の方を通して栄養療法医師にご相談したケース》

体に炎症がある(炎症マーカーのCRPや白血球数が高い)。その炎症の原因も特定されているが、本人の自覚症状に乏しい(発熱はない)ために、治療はされていない。

そして、ある場所(臓器)の手術を行う予定があるが、体重がどんどん低下していて、以前の運動(日常生活動作)でもかなり疲れるとのことでご相談があった。

手術1週間目に病院で術前検査として行われている検査の持ち込みをしてご相談があった。

(病院では必要な検査を行い術前検査では異常がなく、準備が整ったと言われたとの事)

アルブミン3.2g/dl(1年前4.2)、ヘモグロビン11g台/dl(1年前14台)

総コレステロール110㎎/dl台(1年前も低め170台、コレステロール低下剤を飲んでいる)

白血球数10,000/uL超え CRP基準値の30倍mg/dl高値

上記結果で、病院の手術は予定通り行う予定との事

医療スタッフその方の体内環境を知っているでしょうか、疾患しか見ていない様に感じます

栄養療法医師から、まず手術日の再検討と、コレステロール降下剤処方医師とご相談をとのアドバイスがあった。取り急ぎお伝えする。

自分の体の調子を知る時に、これら検査の事、ぜひ知ってほしい



栄養カウンセリングユウケイ

【沖縄県沖縄市】 看護師の知識・経験と分子整合栄養学を融合した栄養アプローチを提案します。