血清に100種類以上あると言われるタンパク質を電気的な性質に基づき、アルブミン、α1-グロブリン、α2-グロブリン、β1-グロブリン、β2-グロブリン、γ-グロブリン6種類に分けて 割合・量、パターンを調べた検査です。
これらのタンパク質はそれぞれ特有の役割があり、栄養状態や病態、病態の重症度を把握するのに大切な検査です。
《α1-グロブリン、α2-グロブリン》
~上昇がみられる場合~
このタンパク質は、体で炎症が起きると急速に合成量が増えるために、炎症や感染症で上昇がみられる。
外傷後、血栓症の発症時、進行がんで上昇がみられる。
妊娠中は合成亢進によりα1、α2が軽度上昇する。
妊娠中はCRPも軽度上昇することが多い(妊娠中は生理的炎症状態にある!?)
CRPも上昇することが多いが、α1、α2の上昇より先行しCRP上昇がみられる。
~低下がみられた場合~
肝硬変、肝機能低下ではタンパク質合成が抑制され低下する。
《β1-グロブリン、β2-グロブリン》
このタンパク質には栄養素の輸送タンパク質や免疫物質が含まれている。
栄養に関するマーカーとしてはアルブミンと同じ動きを示しやすい。
~上昇がみられる場合~
β1→鉄欠乏性貧血など
β2→慢性炎症、M蛋白血症、骨髄腫など
~低下がみられた場合~
β1→急性・慢性炎症、栄養欠損、タンパク質不足
β2→免疫疾患、栄養欠損、タンパク質不足
《γ-グロブリン》
免疫グロブリンである。免疫グロブリン(抗体)は、抗原(病原体や有害物質)と結合し、これを無毒化するタンパク質である。
機能と構造で抗体は5つのグループに分けられる
~上昇がみられる場合~
IgG…膠原病、悪性腫瘍、慢性炎症で上昇する。多発性骨髄腫でも上昇する。
IgA…粘膜の免疫を司り、主に慢性炎症で上昇する。多発性骨髄腫で上昇する。
IgM…急性炎症で上昇する。
IgD…呼吸器感染症防御に関与し上昇?
IgE…アレルギー反応で上昇する
~低下がみられる場合~
先天性免疫不全症で免疫細胞の異常で抗体産生が低下。
ステロイド、免疫抑制剤、放射線治療、ネフローゼ症候群、多発性骨髄腫(BJP型、IGE、IGD産生型)
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