2005年に発行された著書
一度は軽く読んだはず?だが、最近思うところあり、また読み直している。
自分なりの理解を、書き起こしてアウトプットしてみる。
マイケル・レッサー著 氏家京子/訳
脳に効く栄養 ①
ある時、精神科医である私のもとに、サラという女性から電話がかかってきた。彼女は私が「栄養療法というものによって精神疾患を治療している医者だ」と、どこかで聞き電話してきた。
サラの望みは、精神科医である私に、別の医者から出された抗うつ剤をやめるための手助けをしてほしい、という事だった。そしてもう一度妊娠出来るなら、胎児に先天性の障害が発生しない様、出来るだけの事はしておきたいと考えていた。
中略
数日後、サラや夫や両親、姉妹たちと一緒に、私のクリニックへやってきた。
中略
サラは、はたから見ると、やる気にあふれている様に見える事が多かった。しかしそれは激しすぎるもので、結局その事が彼女の悲痛な人生をいっそう際立たせた。
中略
以前まで通っていた内科医は、彼女に抗うつ剤を処方したが、その効果は無く回数が減るだけで、それも機械的にコントロールされているようで嫌だと彼女は言った。自動操縦装置を付けられたみたいだと言うのである。その薬の副作用で、頭痛と吐き気があった。
六回の流産経験があった。きちんと妊娠したことがまだなかった。
中略
彼女は自分の絵で食べていけるはずのアーティストでもあった。しかし、薬や、うつ症状のせいで想像力をそがれる事が多く、やはり悩んでいた。
中略
三十代初めに性欲もなくなっていた。このために行った薬物療法はまったく効かなかった。
中略
こういう患者さんが来ると、第一に、医師は患者のうつ症状が妊娠にまで問題を起こしているのか、それとも妊娠問題が原因でうつ病になっているのかを分析しようとするのだ。
しかし、私のやり方は違う。
うつ病と不妊、二つの問題が密接に関係している事は明白なのだから、まず解決策を探すことを優先させる。
サラの場合、すでに心理カウンセリング療法も、薬物療法も行っていたが、どちらも効かなかった。
サラを含め私のところにやってくる患者の多くは、心理カウンセリング療法や薬では問題を解決することが出来なかった人たちだ。
この人たちに私がやる事は、まず身体の働き方全体に注目する事である。人の身体の働きかたを、体内で起こる化学反応の様子と、総合的栄養の質から検証していくのである。
こういうやり方をなかなか信じられない人もいるようだが、ある意味、低栄養や悪栄養による「栄養失調症」は現代の一大流行病になっており、ふさわしい栄養を身体に与え直してやると、サラの様な人たちを治すことが出来る。
あまりの悲嘆から、働く事が困難になった人、軽いノイローゼになった人、統合失調症になった人、精神疾患になった人、反社会的行動を起こしてしまう人、そんな人たちと一緒にもがいて来た数十年の経験が、私にはある。
ここから学んだことは、おだやかに、自然に、そして効果的に、彼らの脳で起こっている化学反応に働きかけ、そのバランスを回復させることだ。そうすることで患者の気分を安定させながら、薬の摂取量を減らし、完全に止められるようにする。
サラの場合、流産予防のために、ビタミンE、バイオフラボノイド、葉酸を与えた。また銅が正常より不足していたので補った。うつ症状を招く低血糖症だったので、これに歯止めをかける食生活を教えた。
中略
薬には当然それを使う理由と目的がある。しかし強すぎると毒になる時、常習癖がつくときがある。だから充分に配慮をもって処方されなければならないのに、最近ではずいぶんと軽く扱われる傾向にある。
中略
一方私が行う栄養療法は、薬を飲みこむだけで済む治療に比べれば多少の手間がかかるが、薬にあるような大きな危険性がない。また時には心理カウンセリング療法と併用して、その効果を高める事が出来る。
中略
食べること、食べるものを選ぶことは、生きていれば誰でもやることだ。それに私がいつも優先させるのは、より自然で、より安全で、より効果的なことなので、結果的に危険の高い薬よりも栄養で治すことになる。
中略
食事はその人のために考えた食べ方を指導する。
ビタミン類やミネラルのサプリメント(栄養補助食品)も良く使う。一般的な健康維持を目的として使う時よりも、かなり多い量を与えるが、それはビタミン類が持つ自然な力を治療目的で強力に働かせるためである。アミノ酸、酵素、脂肪酸、ハーブなども必要に応じて良く与える。
中略
サラの場合、何もしないよりは薬を使った方が改善点は得られていた。ただ、自然な成分で得られるはずの恩恵をまだ手に入れていなかった。又薬の副作用に苦しんでいた。
しかし、彼女は素人の判断で薬をやめれば、その方が大きな問題に直面するのではないかと考えて、私に助けを求めた。
だから、私は専門医としてサラの精密検査を行った。
続く…
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