油について②

引き続き、油の事を書きます。

色々勉強してみると、油もそうですが、お塩や砂糖などの調味料・食品は、時代の影響をうけた歴史的背景があるんだという事を感じます。

第二次世界大戦で敗戦国になった日本はアメリカの指導の下で戦後の復興を進めてきました。

1955年ころからの高度成長期、日本は先進国の仲間入りをしました。

先進諸国の仲間入りをした日本人は外国人との体格差や、外国人に比べて肉を食べないと言うコンプレックスからか 「もっと脂肪を!」と叫ばれるようになりました。

しかし次第に動物性脂肪の摂り過ぎは心臓血管系の病気を引き起しているという事が外国から言われ始めた。そうすると栄養学者らは「動物性脂肪を控えましょう」と大合唱するようになり、動物性脂肪の代わりに植物性油脂を摂りましょうという方向へ舵が切られました。

1950年アメリカの研究結果から、「リノール」酸は血中コレステロールや血圧を下げ、心筋梗塞や動脈硬化を予防するなどの健康効果が期待できるとして世界中で脚光を浴びました。

リノール酸は人間にとって不可欠な「必須脂肪酸」と言われる油の種類です。不足すると成長が止まる、子どもが生まれにくくなる、髪の毛が抜けて病気になるなどの欠乏症に陥ります。

「植物油は健康に良い」となり、ほとんどの栄養士やお医者さんが「動物性脂肪を減らして、リノール酸の多い油をとりましょう」と栄養指導をしました。このような栄養指導が長きに続けられてきました。

日本でも食品業界は競争して、リノール酸を多く含むベニバナ油、コーン油、ひまわり油、大豆油などの商品を作り、健康食品として売られるようになりました。

今ではあまりみなくなりましたが、テレビコマーシャルで「お中元に〇〇〇のベニバナ油」などのCMが盛んに行われていましたね。

1980年代には、もう一つの「必須脂肪酸」が発見されました。「α-リノレン酸」です。α-リノレン酸は「脳」「神経」機能を正常に保つ働きがあるという事も報告されました。

そしてリノール酸とαリノレン酸のバランスが重要で、そのバランスを崩す事が多くの慢性疾患に深くかかわっているという事がわかってきました。リノール酸とα-リノレン酸のアンバランス、つまりはリノール酸の摂り過ぎが、アレルギー、高血圧、心筋梗塞、癌の引き金になっているという事です。

ここからは、難しい脂肪酸の勉強です。

飽和脂肪酸とか不飽和脂肪酸とかの難しい名前は、どこからきているかというと、脂肪酸の構造から来ています。

脂肪酸を構成している元素は3つ「炭素」「水素」「酸素」です。

元素はそれぞれ持っている手の数が違うという性質があります。「炭素」は手が4本、「水素」は手が1本、「酸素」は手が2本です。

一直線の炭素の鎖に水素がくっついています。(隣同士の炭素と2本の手でつながり、残った2本の手に水素があてがわれます)そして右端に酸素がくっつきます。酸素も手が2本ありますので1本は炭素と残り1本は水素とくっつきます。

つまり炭素鎖は、元素の空いている手が無いように水素があてがわれて構成されています。

炭素鎖の鎖のすべてに水素が結合した状態を飽和といい、その性質の脂を飽和脂肪酸と呼びます。

隣り合った炭素同士が二重結合をつくると、ここでは水素は飽和されていないので、不飽和脂肪酸と呼ばれます。

不飽和脂肪酸の中で、1カ所だけ二重結合のあるものを一価不飽和脂肪酸又は単価不飽和脂肪酸と言います。

その二重結合が炭素のスタート(左端)から数えて最初の二重結合が何番目にあるかにより、オメガ〇と名前がつくわけです。ちなみに単価不飽和脂肪酸のオメガ9系は、オレイン酸の脂肪酸です。オレイン酸を多く含むのはオリーブ油が代表ですね。

二重結合が2個以上の場合を多価不飽和脂肪酸と呼ばれます。リノール酸とα-リノレン酸は多価不飽和脂肪酸の仲間になります。リノール酸は最初の二重結合の場所が左端炭素から数えて6番目ですのでオメガ6系と呼ばれます。ちなみにリノール酸は二重結合を2か所もちます(6番目と9番目)

α-リノレン酸は最初の二重結合の場所は左端の炭素から数えて3個目ですので、オメガ3系とよばれています。ちなみにα-リノレン酸の二重結合は3か所(3番目と6番目と9番目)

はぁ! 難しかったですね 私は学び直しで書いてみましたが、いつまで憶えていられるかです(笑)

油の事、まだまだありますので、また書きます。。。

栄養カウンセリングユウケイ

【沖縄県沖縄市】 看護師の知識・経験と分子整合栄養学を融合した栄養アプローチを提案します。