風邪の時の解熱剤を使う判断 №1

昨今流行っている感染症やワクチン接種後の発熱で解熱剤を使用した事がある人も多いかと思います。

コロナウイルスの流行り始めやワクチン接種後の発熱で、巷に鎮痛解熱剤が品薄になって、 一般市民が右往左往していた事がありましたね。

その時に、一般に安全性の高いと言わるカロナールが品薄だったからか、ロキソニンやボルタレンなどNSAIs(エヌセイズ)といわれる非ステロイド系消炎鎮痛剤が処方されたり、 又は自ら買い求める人が多くいました。

医療関係者の皆様でしたら、その時になぜだろう? もうそうも言ってられないのかな?

ライ症候群との関係はないのかな?などなどの

疑問があったのではないでしょうか

私は病院の小児科外来、又その後小児クリニック勤務を経ての経験と知識が、今現在も自分自身の感染症罹患時の対応の基本になっているので

書いてみたいと思います。

体に炎症が起きた事に反応して、脳の指令で発熱が起こります。

体温が38.5℃ほどの時には一番免疫が活性化していて、ばい菌退治に体が働いているので、発熱=解熱剤を飲まなくては、ではないです。

しかし発熱に随伴して、頭痛や体の痛み、怠さなどが有れば体力の消耗をきたすので、発熱時になおかつ体がつらい(子供でつらそう)で有ればタイミング良く、安全性の高い解熱剤を使用する事をすすめます。

では..安全性の高い解熱剤とは

解熱剤の副作用関連で、ライ症候群と言う病気があります。最初に報告されたのは1963年です

ライ症候群の典型的な症状は、風邪症状の後、それが回復した頃に、嘔吐や痙攣が急速におこり

意識障害に陥ってしまう、という病態です。

当初意識障害は、ウイルスによる脳炎かと思われていたが、

肝臓にも高度な障害を伴うという特徴がありました。

肝臓の全細胞に小さな脂肪の塊が急激にたまるという非常に特徴的な変化が起こって

そして肝臓の機能は急激に低下し、血糖値を維持出来なくなり(血糖の貯蓄ができなくなり)

今度は血液中のブドウ糖の欠乏を起こし、脳にダメージを起こす。

この様な病態がだんだん明らかになりました。

この病気の原因は長い事不明のままでしたが、

1970年代に又も、アメリカでインフルエンザと

水ぼうそうの回復期に、ライ症候群の患者さんが多発しました。

1980年代になり、インフルエンザなどウイルス感染症の発熱に対して、アスピリンなどのサルチル酸製剤と呼ばれる解熱剤を使用した子供に、使用しなかった子供より高い確率でライ症候群が発症しているというデーターが報告され、議論を巻き起こしました。

そしてアメリカの医療界は、インフルエンザにアスピリンを使用するな!とのキャンペーンを張り、ライ症候群が激減した事で、ライ症候群はアスピリンが原因と認識される様になりました。

No.2へ続く

栄養カウンセリングユウケイ

【沖縄県沖縄市】 看護師の知識・経験と分子整合栄養学を融合した栄養アプローチを提案します。