最近、尿検査の結果についてのご質問、お問い合わせがあったので、尿検査の項目ごとに何回かに分けて書いていこうと思います。
一般に行われる尿検査の項目と、基準値、その検査の示す意味を書いておきます。
尿たんぱく:基準値(-): 蛋白の種類のアルブミンを検出する。糖尿病腎症や糸球体腎炎で陽性となる。発熱、運動、濃縮尿、月経で陽性になる事がある(偽陽性)
尿糖:基準値(-): 高血糖、あるいは尿細管における再吸収低下で陽性となる。
尿ウロビリノーゲン:基準値(+-): 抱合型ビリルビンは胆汁と共に腸管に排出され、腸内細菌の作用でウロビリノーゲンに変換される。一部が体内に吸収され、さらに一部が腎臓から排泄される。
尿ビリルビン:基準値(-): 抱合型ビリルビンの増加、肝細胞障害、胆汁排泄障害で陽性となる。
尿比重:基準値(1.006~1.030):水分の摂取量、運動や発汗、代謝により変動が大きい。脱水状態では上昇する。
尿PH:基準値(5.0~7.5) 体内の酸と塩基のバランスを反映する。食事や代謝の影響を受ける。
尿ケトン:基準値(-): グルコースの利用低下が起きた状態では、脂肪酸の酸化が亢進してケトン体の合成が高まる。長時間の絶食で陽性となりやす。糖尿病のコントロール悪化で陽性となる。
尿潜血:基準値(-): 尿路系疾患が疑われる場合に陽性となる。尿沈渣で詳しく調べる必要がある。
さて、今日お問い合わせのあった、尿ケトン体についてです
直接ご本人からではなくて、職場の同僚という仲介者を経てのお問い合わせでした。
30歳代女性で健診で受けた尿検査で、尿ケトン体(+)に出て、健診の担当医から、ダイエットでもしているのですか?と聞かれたが、何が異常なんでしょうか?との問い合わせでした。その女性の方は健診の少し前に、だるい、食後に凄い疲れる、よく熱を出すの自覚症状があり、内科で検査をしたのだそうです。内科での血液検査で、医師から栄養失調状態と言われたとの事。その検査結果の詳細や、健診での尿検査の他項目の詳細までは仲介者も分からないという事でした。
尿ケトンの基準値は陰性(-)ですが、どんな時に陽性(+)になるかについて、仲介者の方と情報交換をしました。
ケトン体は体内で脂肪分から生成される物質です。糖分が不足した時にエネルギー源としての働きをします。
(糖分というと、甘い物だけではないです、大きく括って炭水化物の事です)
糖尿病が酷くなり、インスリンの働きが弱まり、細胞へ糖分をエネルギー源として供給できない場合も、脂肪分がエネルギーとなるため、血液中のケトン体が多くなり、尿へもケトン体が出てきます。糖尿病でこのような時は、糖尿病の血糖コントロールが不十分でケトアシドーシスの状態になっていると思われます。
また、妊娠中のつわりや、ダイエットやある病気があり飲食が十分にできない場合もケトン体が陽性となる事があります。
ケトン体は、体内で糖分でのエネルギー生成が出来なくなった時に、体の機能を維持する上で重要な役割を果たします。
しかし、体内でケトン体が増加する状態が長く続くと、血液は酸性となり、ケトアシドーシスの重篤な状態を招きます。
ケトン体陽性が続く状態はあまり好ましくはないと考えられます。
そんな情報交換をしました。
次は尿検査の項目の、尿潜血について書きましょう…か!
0コメント